劇団ろしなんて 【アパートメント…コメディorミステリー?】公演前取材
今回は劇団ろしなんて(https://gekidan-roshinante.jimdo.com)さんの稽古にお邪魔し、高崎公演が今週末に迫った「アパートメント…コメディorミステリー?」の取材をしてまいりました!
本番直前の取材ということで、舞台の重要なシーンの練習中でしたので、ちょっとネタバレに気を付けながら劇団ろしなんての魅力を語りたいと思います。
あらすじ
ボロアパート「はちぽち荘」には、大家と個性豊かな5人の住人が暮らしている。漫画家を目指す山田・呑んだくれの早乙女・元ヤンで受験生の遠藤・売れない役者の渡辺・無口なボクサー坂本・みんな不器用ながら自分の夢に向かって懸命に、そして楽しくアパートで暮らしていた。そんな中、不動産屋の立川が「はちぽち荘」を訪ねる。
そこである事件と、衝撃の真実が明かされる・・・。
劇団ろしなんてってどんな劇団? -県内最古級の歴史
劇団ろしなんては群馬県高崎市を中心に、県内各地から集まった芝居好きの仲間でつくる、アマチュア劇団です。観に来てくれるお客様と一緒に楽しめる芝居づくりを目指して、年1本の本公演を中心に活動しています。劇団創立は1971年9月。故福田一郎(初代代表)を中心に活動を始めました。群馬県内のアマチュア劇団としては最古級の歴史を誇ります。
劇団のカラーとしては、オリジナルでない、既にある程度世間的な評価を得ている脚本を使って、大人から子供まで幅広い年齢層が楽しめる演劇を目指して活動しています。また団員自体の年齢も幅広いため、本公演にあたっては裏方・役者を問わず、それぞれの見識や立場から、様々な意見が活発に交わされます。(旧ホームページより抜粋)
劇団ろしなんては今年から若手の育成に力を入れており、今回の公演の演出・役者・スタッフは若手が中心となって運営をしています。
今までは、ベテランの方々についていくだけだった若手が前に出て、これまで見てきたベテランの背中を追いかけ、時にはアドバイスを貰いながら稽古を進めていらっしゃいました。
稽古中の様子 ―今回は若き演出を中心に
取材に伺った8/15日(水)は本番まで残り2週間に迫った稽古中です。
今回の舞台のクライマックスに当たるシーンの一コマ。細かいことはネタバレになってしまうので控えさせていただきますが、和気あいあいとした空気の中にどこか緊張感を感じる稽古。
演出の加部さんの台本には課題となる部分に対して付箋が貼ってあり、写真から見てもわかる通り、その量はこの舞台への意気込みを感じます。
加部さんの演出方法は登場人物の心情を細かく掘り下げ、役者の一挙手一投足に注視し、細密な演出をつけていました。
何気ない行動でも、その登場人物の心情の動きを表現するのに大きな意味を持つ行動だと言うことを改めて実感させられました。
加部さんは今回が初演出に大抜擢ということで、いままで役者として培ってきた経験を基に、稽古中も役者の意見を積極的に取り入れ、幅広い年齢層の劇団ろしなんてをまとめています。
稽古中に印象に残った事 -ベテランが心情の解釈をアドバイス
稽古中にこんなことがありました。
演出の加部さんが他の役者に演出を付けている最中、この日稽古に参加していたベテラン2人が積極的に若手に話しかけ、登場人物の心情の解釈についてアドバイスをしていました。
「はちぽち荘」の住人である無口なボクサー、坂本は文字通りほとんど喋りません。
喋らずに過ごしている人ってどういう心情かと想像するのって結構難しいはず。
現実的に喋らないで過ごす、ということはほとんどありません。
だけど、舞台上ではその無口なボクサーが存在し、生きていなければならない。それには役者自身で坂本がどのような心情で過ごしているのかを考え、行動に移す必要があります。
非現実的な部分を舞台上で現実的であるように表現するために何が必要なのか、そんな話を若手に問いかけ、導いていました。
舞台は日常生活をある程度、デフォルメして作られます。
演劇人は非日常的な現象を日常的に表現することに日夜注力し挑戦しています。
果てしなく続く表現活動への入り口、に若手が立った瞬間を垣間見れた一幕でした。
演出の加部洋平さんからひと言 -ろしなんてが得意とする温かい芝居を
加部:この舞台は「はちぽち荘」というとあるオンボロアパートに住んでいる個性的な住人たちが起こすドタバタ劇です。そのドタバタ劇の中でも暖かくなるようなホームドラマがあって、涙あり笑いあり心温まる喜劇となっています。題名に「コメディorミステリー」って書いてある通り、コメディーな部分もあったりシリアスでミステリアスな部分もあるんですけど、「はちぽち荘」の個性的な住人たちは協力しながら自分達の道を進みます。最近の人たちって人間関係が希薄だと言われがちですけど、実はそうでなくて「赤の他人にでも優しくなれる心がちゃんとあるんだ」って感じてもらえたらと思っています。
私たち劇団ろしなんてのコンセプトに「お客さんと一緒に泣いたり笑ったりする」というのがあります。客席のお客さんと舞台に立っている私たちは同じ空間にいて、一緒に笑って、一緒に泣く。そんな感じでお客さんも役者も物語を楽しく見られるような芝居を目指しています。
舞台が終わった後はお客さんに「ろしなんての芝居を見るとなんだか温かくなるねー。」って思ってもらえると嬉しいです。
鳴海が選ぶ「アパートメント…コメディorミステリー?」の魅力
取材させていただいた私が独断と偏見で今回の公演の魅力を2つ上げます。
演劇をあまり見たことない方はここに注目するとよいのでは?
①個性の強いアパートの住人達
漫画家見習い・呑んだくれ・元ヤン受験生・売れない役者・無口なボクサーと大家さん「はちぽち荘」の住人は個性の強い人が多い!
一人でも個性が強いのにその個性が集まっているせいで余計個性が強くなってます。この登場人物達がどのような話を繰り広げるのか、どんな行動に出るのか。
一人一人の心情描写に着目すると面白いと思います。
②スタッフの力がすごい! -すべてを劇団内で完結する
1971年創立今年で47周年の劇団ろしなんては長年の経験から舞台を支えるスタッフの力がすごい!
特に舞台装置には個人的にいつも注目しています。
劇団員の中に建築関係の仕事をされている方がいらっしゃり、今回の舞台装置も3Dにモデリングされていました。
そのモデルを特別に見せて頂いたのですが、プロの仕事なので当たり前といえば当たり前なのでしょうけど、非常に精巧に作られていて感動しました。
代表の森泉さん曰く、舞台を作る上で必要な作業をすべて劇団内で完結できる劇団を目指していらっしゃるそうです。
下記のTwitterのつぶやきはだいぶ前の物なのですが、それにしても凄い。。。
#大道具日記#劇団ろしなんて
3DCADで大道具の図面を描いたら、こうやって劇場モデル(高崎市民文化会館に大体合わせました)の中に落とし込んで、見え方を確認します。
この角度からは役者さんが見えない、とか、看板はもっと大きい方が、とか演出との打ち合わせに使います。詳細描き込みはまだ先。 pic.twitter.com/JQxFNX1IX9— 劇団ろしなんて (@gekiroshinante) April 27, 2018
第47回公演
群馬県民芸術祭協賛
演目「アパートメント…コメディorミステリー」
作:山岡幸紘
(はちぽちヒッチハイク)
演出:加部洋平
高崎市文化会館
8月25日(土)18:00開場
18:30開演
8月26日(日)13:00開場
13:30開演
安中市文化センター
(主催 地域創造集団「楽舎」
地域づくり団体「未来塾」)
9月8日(土)18:00開場
18:30開演
前売券 大人1,000円
中高生800円
当日券 大人1,200円
中高生1,000円
*小学生以下 無料
安中公演のみ託児所有り
チケットの取り扱いについては劇団ホームページをご参照ください。
今週末お時間がある方はぜひ高崎市文化会館へと足を運んでみてください。
今週末がダメでもその2週間後には安中市文化センターでも公演がありますので、大丈夫です(笑)
若手とベテランの力が融合した面白い作品になっていると思います!
また、演劇を見たことがないって方にも分かり易い作品です。
今週末はぜひ、劇団ろしなんて へ!
劇団ろしなんての皆様、本番前のお忙しい中、快く取材を受けていただきまして本当にありがとうございました。
取材
鳴海琢元
この記事へのコメントはありません。