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【群馬大学演劇部テアトル・ヒューメ】公演後インタビュー 前半

インタビュー記事第三弾は7/14~16に【LENS】を上演した群馬大学演劇部テアトル・ヒューメさんにお邪魔してきました。
この週は3つの大学が同時に公演をしていた、学生演劇週間でしたねぇ。

今回は演出を務めた柴田広人さんに演出をしてみての感想や日頃のヒューメはアングラ系の舞台が多い中、あえてコメディー作品に挑戦した理由などを聞いてきました。

実はインタビュアーである鳴海もこのテアトル・ヒューメに在籍しておりました。(もう3年も前の話ですけども…)
最近、後輩達の活動が気になりたまに遊びに行かせてもらってて、この公演のゲネ(本番を想定した稽古)を見学させてもらいました。
ゲネと本番で舞台の面白さが劇的に変わっていたそのわけとは!?

公演の概要はこちらにございますので、よかったらご確認くださいませ。

残念ながら公演を見られなかった方のためにあらすじを

あらすじ

時は大正、大日本帝国
“幽靈図書館”の異名を持つ本郷帝都図書館で発生した、珍妙奇天烈な書物窃盗事件。
犯人は、トリックは、そしてその狙いとは?

不可思議な謎を巡るミステリヰが、今、幕を開ける。

 

大好きな小林賢太郎作品をやり通したかった

鳴海:まずは公演お疲れ様でした。公演が終わって一週間経ちましたがいかがですか?

柴田:あんなに長くやってたのに、もう終わっちゃって一週間経つんだなっていう感じであまり実感が湧きません。

鳴海:この一週間どんな感じで過ごしてました?反省会とかはもう終わりました?

柴田:ぼーっとしてたらあっという間に過ぎてしましました。2か月間色々あったなーって思ってたらあっという間に一週間が過ぎちゃいました。

鳴海:それだけ濃密な2か月間の稽古期間だったんですね。さて、まず聞きたいのが、今回群大では珍しく「小林賢太郎」を選んだ理由です。テアトル・ヒューメのブログ(リンク先に該当記事)でも書いてありましたが、柴田君の妹さんに勧められてからすごくハマったんですよね。

小林賢太郎とは?

小林 賢太郎(こばやし けんたろう、1973年4月17日 – )は、日本のお笑いタレント、コメディアン、劇作家、パフォーミングアーティスト、演出家、漫画家、アニメ監督。既婚。
片桐仁と共にコントユニット・ラーメンズとして活動。また、小島淳二との映像製作ユニット「NAMIKIBASHI」、升野英知(バカリズム)との大喜利ユニット「大喜利猿」としての活動、田中知之 (Fantastic Plastic Machine) との音楽ユニット「SymmetryS」、ソロコント公演「POTSUNEN」も行っている。また、年に1度テレビでコントを披露する番組『小林賢太郎テレビ』や、cmに度々出演することもある。(Wikipediaより)

 

柴田高校生の時にラーメンズの存在を妹から勧められて、その後小林賢太郎が舞台を作っている作品を見るようになりました。この「LENS」は僕が見た初めての小林賢太郎の演劇作品です。初めて見たときはすごく衝撃的でした。面白過ぎました。キャラが一人一人面白いし、いろんなところで笑いが発生する。この「LENS」って作品はコメディーなのに隙がなく、すごく作りこまれているなと感じました。色んなところに小林賢太郎の才能を感じました。

鳴海:その頃から自分がその内LENSをやってみたいと思っていました?

柴田:そうですね。ただ、僕が入ってからヒューメではがっつりコメディーをやってなかったので、ここでコメディーをやるのは難しいだろうなって思ってました。

鳴海:ヒューメがコメディー作品を上演したのって相当前ですよね。

柴田:そうですね。過去の資料だと2013年の「下荒井兄弟のスプリング・ハズ・カム」(TEAM NACS原作)とかですかね。

鳴海:ああ、そんなに前ですか。あの時私が制作をやっていました(笑)。懐かしいです。ヒューメは比較的シリアスな作品だったりアングラ的な作品を扱うことが多いんですよね。「ここはコメディーをやらないんだ」って気づいたのはいつ頃ですか?

柴田:1年生の夏は「父との夏(2015)」(高橋いさを作)で、結構あったかい話だったんですけど、公演を重ねていくうちに「あれ、重たい作品が多いな」って気付いちゃいました。高校時代も重くシリアス目の台本を扱ってたんです。でも、コメディーやってみたいなっていうのは高校からずっと考えていました

鳴海:満を持してのコメディーだったわけですね。

柴田:相当いいものができたと思っています。本番も自分が一番笑いました。(笑)

「肯定派VS否定派」の怒涛の掛け合い

鳴海:その辺りの話を追々聞いていきましょう。まずは、演出として今回の公演の中で一番大事に頑張ったのはどんなところですか?

柴田:演出的に一番力を入れたのは後半のシーンで犯人が犬飼さんだと判明したあとの怒涛の展開。「犬飼さんが犯人だということが腑に落ちていない春日と愛宕屋駿菊」VS「認めさせたい天城」どんどん粗を探して見つけていこうとするんだけど、全部天城に正論で返されて、最後に後がなくなって諦めて泣いちゃうまでのところです。あそこが一番面白いので一番練習時間を使いました

鳴海:春日と駿菊の息がぴったりで、「あれ? シンクロしてる?」って思いました(笑)。

柴田:いかに二人を合わせるかっていうのもそうですし、テンポも「怒涛の掛け合い!」ってするようにしたのに力を使いましたね。

鳴海:それに対して具体的な指示を出したりしていました?

柴田:天城に正論を言われて納得しちゃう部分とその後に気づいて「いや違う!」って否定する部分。肯定と否定をいかに出せるか。それを出せば出すほど「この人たち頭の中パニックになっているんだな」っていうのが出せるので、そういうところとかですね。どんどん切り替わっていく忙しさの中に面白さを残すっていうのが難しかったですね。今回のキャスト5人のうち初めて舞台経験っていう人も3人くらいいましたし、その中でバランスを保ちつつ完成させなきゃいけないっていうのは難しかったです。

原作とは一味違う「LENS」

鳴海:なるほど。今回、原作の「LENS」とはそれぞれのキャラクターがちょっとずつ違いました。例えば主人公の天城は原作だと小林賢太郎さんがやっていました。でも、今回は女性の吉澤さんが演じていらっしゃいました。その辺りは狙いがありましたか?

柴田:原作の「LENS」はすべて男性のキャストで構成されています。でも、僕は今回「男女」っていうのはどちらでも良くって、キャラクターに合うキャスティングをしました。その中でも一番男らしいって言っちゃなんですけど、出ていた女性二人は物怖じしないタイプで力強い部分も見せてくれると思ったのでキャスティングしました。原作の方もそうですけど一人一人のキャラクターが面白いのでそれに負けないパワーを持つ人じゃないと出来ないだろうなと思ったので、パワーを感じる人を選んだらこうなったというとこです。

鳴海:選んだ結果、男性3人女性2人になったということですね。原作は意識して作りました?

柴田:原作を何回も見ちゃっているので、ここは譲れない所だなっていうのはありました。例えば服装の時代感は非常に意識しました。あとは春日桜太のいわゆる「筋肉キャラ」。春日はもはやそれでしかないので、そこはもう清々しい筋肉バカでやって欲しいって言うことは物語を進めていく上での軸みたいなキャラ像は原作を反映させてもらいながらやっていました。

鳴海:なるほど。もちろんすべてを原作通りにする必要はないと思うのですが、あえてここはしっかり原作と距離を置いたって部分はありますか?

柴田音楽ですね。原作だと椎名リンゴさんの曲とかを使っているんですけど、そこはちょっと離れて自分たちなりに改めてLENSの持つ大正ロマン的なイメージと、あらすじとかもそうなんですけど、ミステリーチックな物にしておいて、実際蓋を開けると「めっちゃコメディーでした。」みたいな感じにしたかったので、曲とかはあえて全く違うものを使ってみました。

 

影響を受けやすい「小林作品」とあえて距離を置く

柴田:そういえば。LENSの台本は本になってどこかで見られるようになっていないみたいで、今回は原作のDVDを見ながら文字を起こして台本を作ったんです。セリフの言い回しとかの感じをそのまま打ち出しちゃうと「原作に出ているその人達」にしかならない。なので、セリフは変えていませんけど、当て書きな感じを落として行きました。ビックリマークだったり棒引きとかはキャラクター自体を表す必要な部分には入れたりするんですけど、他の所は余計に入れないようにして、あとは役者が台本を読んだ想像に任せるって意識しました。あと、ト書とかもシンプルにしましたね。台本を作るときはなるべく舞台を作る上で必要最低限の物だけを書き出していました

鳴海:小林賢太郎作品って、めちゃくちゃ面白いからそのままやろうと挑戦する団体もありますけど、柴田さんはあえて「小林賢太郎風味」を出しすぎないように意識していたんですね。

柴田:今回、これをやるにあたって1個気を付けたのはコピーではなくカバーにしたいなと思っていました。カバー曲とかで、「これは本家の方がいい」みたいな意見があるじゃないですか。「カバーをする」っていうのはそういうのじゃなくて、基はあるけど、その人の良さや味とかを載せた上で自分たちで表現をするっていうのがカバーだと思っているので、それが出来たらいいなって考えてました。この作品が一番大好きな作品っていうのもあるんですけど。自分が演出でカバー作品を作るっていう気持ちがすごくあったので意識しました。

鳴海:見てて、本当にこの作品が好きなんだなって思いました。そういえば、今回の役者さんたちに原作のLENSは見てもらいました?

柴田:見せてないです。先に調べてみちゃった人にはその原作をいったん忘れるように伝えて、原作を見せないようにして作り上げました。やっぱり、シンプルに真似はして欲しくなくて、原作を見せちゃうと「これが完成品だよ」って勘違いさせちゃう気がして。あくまで自分の言葉でこういう風にやって欲しいと伝えたかったんですよね。

 

役者を伸ばしつつ役のイメージに近づけていく

鳴海:今回ビックリするくらいキャストとキャラクターが非常に合っていました。特に主人公の天城は原作で演じている小林賢太郎のイメージとはまったく違うものになってるんだけど、「こういう天城も居るなー」って思いました。演出をつける際、役者へどのような指示を出していたのですか?

柴田:基本的には役者の演技を基にそこを伸ばしていきたいと思っていました。役者がやろうとしていることは自分の中のイメージと近いものだったので、あとはもっと自由に動かしたり、オーバーにやってもらうにはどういう風に言ったらいいかなって考えていました。例えば主人公の天城役は、元の表現力がすごいある子です。ただ、表現の仕方がワンパターンなところがありました。彼女自身舞台経験が少ないので、まだ表現の引出しが少なかったんです。引出しを作ってあげるために、天城が手錠を掛けられて「なんでだよ!」って言うところの言い方を毎回変えてみてと指示したり、天城が他の人と張り合って「俺なんかなー!」って言うところも本番も変えてみるように指示していました。ある意味、そういう役者が遊べる部分を作ってやってもらっていました。駒形とかも、この役をやっている山本君は大人びててルックスから言ってもカッコいい、いわゆる「モダンボーイ」にぴったりなんですよ。…ただ、この人めっちゃふざけるんですよ(笑)。駒形には「ボケはいっぱいいるから(笑)。いるからもうちょっと大人びてる雰囲気をもっと出して欲しい」って伝えました。真面目で大人びている雰囲気を出せば出すほど幽霊を怖がって「おっかないんだ…」って言うところがギャップが出てすごく生きてくる。っていう感じで役のイメージと役者の持つイメージをうまく掛け合わせるようにしました。

鳴海:お堅いキャラの犬飼さんも筋肉キャラの春日も車夫(人力車を引く人)の愛宕屋駿菊もこの人以外考えられないでしょってくらいキャラと役者が合っていました!

柴田:今回親と姉と妹が公演を見に来てくれたんですけど、LENSを勧めてくれた妹が「ちゃんとLENSだったね!」って言ってくれて嬉しかったですね。ある意味自分の中では、これを勧めてくれた妹に見せてあげたいなって、恩返しってわけじゃないんですけど…。やっぱり妹に見て欲しかったですね。

 

前半はこれで終了です。
後半は、なんと今回のインタビューの本題!
ゲネをしてから本番までの一週間驚くべき成長をしたその理由とは?
お楽しみに!

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