劇団ザ・マルク・シアター結成35周年記念公演 『擬態 gitai』公演前特集
あらすじ
そのテーラー(仕立て屋)に行けば、”なりたい自分になれる” ”願いが叶う”とSNSで噂になっているが、特定ができない。それでも噂を信じて人々は探し回る。
炭鉱で栄えた片田舎の町にも、噂は聞こえてくるが誰も信じない。過去に起きた大きな災害が、人々の口を堅く閉ざさせた。願いを叶えたいと強く願い人の元に、赤い服を着た女が声を掛ける。
「テーラー MIMESIS(ミメシス)にいらっしゃい」と…
しかし、たどり着いた先はオカマバー「ミミック」果たして夢は叶うのか?
1983年11月、群馬県で開催された「あかぎ国体」のスポーツ芸術部門参加作品「上毛野の里(かみつけぬのさと)」の劇団員が中心となり「劇団ザ・マルク・シアター」を結成してから、若手の育成のみならず、群馬での演劇普及活動に積極的に取り組んでいるマルクさんの公演が今週末10月6日・7日にあります。
劇団員一体となって作る公演がどのようになっているのか、本番を一週間前に控えたマルクさんの稽古場にお邪魔してきました。この日は午前中に最後の大道具を作り終わり、初めて全員が揃った稽古でした。どこか本番に向けての緊張感も漂いつつ、和気あいあいとした雰囲気もあり、不思議とずっと居たくなる空間で、つい長居をしてしまいました。
そんな中で作られる劇団ザ・マルク・シアター結成35周年記念公演 『擬態 gitai』
どのようなお芝居なのでしょうか?
マルクの二本柱、代表の大月伸昭さんとエグゼクティブ・プロデューサーの生方保光さんにお話を伺いました。
八百屋舞台がみられる35周年のマルク芝居 - バックステージツアーあり!
鳴海:劇団ザ・マルク・シアターの代表大月さんにお話を伺います。大月さんは、大道具を担当されていらっしゃるということですが、今回はどのような形でしょうか?
大月:30周年記念に次いで2階建てになりました。役者が2階に上がって芝居するので、立体的な芝居を見せることができます。あとは、八百屋舞台にしました。間口一杯傾斜になっています。
八百屋【やおや】 傾斜がついた舞台のこと。舞台の奥が高く、客席側が低くなっている。青果店(八百屋)の店先の「傾斜をつけた台」の上に野菜が並んでいる様子に似ているのが語源。「八百屋舞台」とも呼ばれる。客席から舞台全体が見えるようになるのと同時に、奥から迫ってくるようなダイナミックさ・遠近感を観客に与えることが可能になる。小道具や舞台美術を、あえて前方に傾けてセッティングすることも「○○を八百屋にする」などという
エンタ★ステージ 「いまさら聞けない演劇・舞台用語:3」より抜粋
鳴海:八百屋舞台ですか。群馬ではあまり八百屋舞台にしている劇団はみませんが、なぜそうしたのでしょう?
大月:生方が八百屋舞台を好きだから(笑)。役者に一度、八百屋舞台を経験させようということで、八百屋舞台にしてみました。今回の舞台は昇っていくイメージがあるので、空間的に考えると合ってるのかな。あとは、いくつか仕掛けがあります。見えたり見えなかったり…。これは、見てのお楽しみということで。
鳴海:うわさに聞いたのですが、今回もバックステージツアーがあるそうで。
大月:はい。あります。土曜日の公演が終わった後に希望者に舞台裏を見てもらいます。ここから2階に上がるんだとか、八百屋舞台はこうやって作られているんだとか見られるかもしれません。気を付けてもらえさえすれば、芝居を見た後に、役者と同じ景色を見ることができます。
次世代に演劇の技術を伝えたい。
鳴海:6月の高校生、大学生、大人の演劇集団がそれぞれの公演を持ち寄った【JGA(ジョイント・ジェネレーション・アクト)】、そして、8月に行われた【メイクアップセミナー】もそうですけど、マルクシアターさんは我々に技術を惜しみなく教えてくださいますね。
大月:「群馬の文化」支援事業の一環でこういうイベントを開いて、次世代の人たちにもちゃんと技術を知ってもらう機会を作っています。
鳴海:お客さんに見て欲しいところは?
大月:舞台上でも色々こだわって作っていますけど、映像にも凝っています。イメージ映像などで使用するのですが、スタッフにかなり凝って作ってもらったので、ぜひ見て欲しいです。
鳴海:今回35周年です。
大月:いつのまにか35年(笑)。過ぎちゃえばあっという間ですけど。思い返す作品がいっぱいあると面白いですよ。いつも、それなりのレベルの物は絶対作るということでやっているので、特に35周年ということで気負っている事はありませんけど、また、次の40周年、50周年に続く一歩として頑張っています。
会場の伊勢崎市境文化センターは演劇フェスティバルなども行われていて、演劇を見るにもやるにも環境が整っているので、お客さんにはぜひ、舞台を楽しんでいただきたいです。
鳴海:大月さんありがとうございました。続いて、エグゼクティブプロデューサー。そして脚本演出を務める生方さんにお話を伺います。今回、お芝居の内容よりも先にタイトルが決まったとお聞きしました。「擬態」というタイトルはどのような意味合いになるのでしょうか?
さまざまな擬態 - 役者、そして日常も
生方:「なにかを偽って隠してる人」ってものすごい多いじゃない。本当の自分を隠す。でも、何のために隠すかって、実は色々理由がある。自分の事を知られたくないから「隠れる擬態」。目の前に獲物が来た時にそれを食う為に「潜む擬態」。自分を良く見せる為に「偽る擬態」。擬態っていっぱいあって、擬態する事自体は悪いことではないと思います。役者もそうで、その役になり切って、ある意味「擬態」して、その役を表現する。それが本来の役者の姿であるべきだと思うので、みんなにそれを挑戦させようと思って、このタイトルにしました。そうしたら、おかまバーが舞台になっちゃった(笑)。
おかまバーにいるみんなは本来は、男なんだけど、女の格好をした男なんですよ。この役をするときは、「男」、「女」、「女になり切っている男という」3つの性別の層を通ってないとちゃんとした表現ではない。とすると、3つの性別の事をしっかりと理解しなければなりません。これはものすごいハードルが高いですから、すべての役者がこれを出来るとは思っていません。でも、一人一人の役者がその役のバックボーンだったり、箸の持ち方、好きなラーメン、その人に染み付いた何気ない癖まですべて理解出来たら、その役者はもっといい役者になっていけると思いますね。
鳴海:今回、なんでも願いが叶う仕立て屋がお話のメインですが、どこからその発想が出てきたのでしょう?
生方:ちょっとしたきっかけで、自分の気持ちがいい方に変わると、なんだかうまくいくような気がしません? 例えば、パリッとした服を着るといい気分になるとか。 そうすると、いい方に風が吹いて自分の願いがふと叶ったりする。そのきっかけを作るのは、新しい服とか、亡くなった人とか、運命的な出会いとか、自分じゃないなにかがすっと自分を持ち上げてくれるような気がするんです。だから、背中を押す役目をテーラーに仕立てて、迷っている人たちの願いを叶えてもらうことにしました。
鳴海:本番まであと、一週間ですが、生方さん的には今回の舞台の仕上がり具合はいかがですか?
生方:どうなんだろうね。昔は「この芝居は〇〇点だ!」なんて言ってたけど、やらなくなっちゃたなぁ。その時は自分の感情で点数をつけてたけど、もう自分のためにやるって思うようにならなくなっちゃってね。みんなのためにやれることをやって、自分の持っているものをすべて出せばいいかってなってきたね。
うちはセリフを覚えながら、脚本もすこし変えながらやってきた2か月があるから、実質最後の一週間が勝負。大道具から小道具までみんなでそろえなきゃいけないので大変だろうけど、全てが揃った今は、思い入れが強くなってくるし。思い入れが強くなるってことは、役も理解しやすくなるってことだからね。ここからみんなが緊張していい舞台が作れると思いますね。
鳴海:生方さんありがとうございます。お二人とも稽古中のお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
初めて役者全員が揃っての通しは、若手もベテランもみな、悩みながら生き生きと芝居をしていました!
私の写真では魅力をすべて語りつくせません!
「擬態」のPVも発表されました!
本番まであと1週間!
35周年の感謝を込めて、
団員全員、想いを詰め込んで演じます✨ pic.twitter.com/zSDDXjJxx9— 劇団ザ・マルク・シアター (@mrk_vine) September 29, 2018
劇団員みなさんの想いが詰まった映像です。このお芝居を見た後にもう一度見ると、よりその想いが感じられるような気がします。
さて、そんな劇団ザ・マルク・シアター結成35周年記念公演 『擬態 gitai』は今週末!
「演劇を始めたい」、「演劇の事を知りたいけど、どうやったらいいかわからない。」「演劇をやっているけどもう一皮むけるためのヒントが欲しい!」
そんな方にお勧めの舞台だと思います。
もちろん純粋にストーリーも楽しめますよ!
登場人物が多めなので、ストーリーを理解する上で、人間関係についてはしっかりと整理しながら見るといいかもしれません!
劇団ザ・マルク・シアター結成35周年記念公演 『擬態 gitai』
2018年10月6日(土)18:00~(バックステージツアー有)
2018年10月7日(日)13:00~
@伊勢崎市境文化総合センター
公演の詳細はこちらから↓
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実は、私も当日のお手伝いで参加しています(笑)
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